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胃外科
症例数と治療法の推移:当院における胃癌症例数は最近5年間で5割近く増加しています。内視鏡的粘膜下層切開・剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)の出現により、従来のEMRとくらべて、より大きな粘膜病変でも一括で切除可能となってきており、分化型早期胃がんを主な対象として内視鏡治療の比率が増加しています。

当院における胃癌症例の年次推移:ESDと手術の割合
機能温存手術:
かつて、胃がんの手術は胃全摘か亜全摘が大部分で、選択肢は限られていました。しかし、最近の10年間で様変わりし、代用胃作成、神経・幽門輪温存、腹腔鏡補助下手術など、新たな術式が行われています。当科でも、若年の胃全摘症例を主な対象として空腸パウチによる代用胃を作製しており、胃貯留能の保持による術後のQOLの改善を試みています。さらに、迷走神経を温存しつつ幽門輪も温存する術式も取り入れています。この術式は胃機能の回復を待つ間、在院日数も延びますが(通常の幽門側胃切除で術後8~10日、幽門輪温存胃切除術で術後10~14日)、術後の体重維持や、胆石発生の抑制、耐糖能保持に有利な術式です。また、噴門側胃切除症例の再建法に観音開き法と呼ばれる、食道逆流の少ない術式も取り入れています。

2006年から2008年の胃癌に対する術式の推移

胃全摘後食道空腸パウチ吻合再建

迷走神経・幽門輪温存胃切除術
用手腹腔鏡補助下手術(HALS):
早期胃がん症例(T1N0)を対象としています。従来、15~20センチ長の創で手術を行っていましたが、用手腹腔鏡補助下では6.5~7.0センチ長の創で手術を行います。通常の開腹手術と比べ、約1時間手術時間が長くかかります。特に体型などによって適応を制限することなく行っております。2008年は11例に施行し、良好な成績を得ております。

用手腹腔鏡補助下手術(HALS)の術創

最初5列の成績を図示
化学療法:
S-1、S-1+CDDP、PTXなどを積極的に行っています。切除不能・高度進行胃癌の長期生存例も経験しています。手術を行わず化学療法のみで6年以上、増悪なく生存中の症例は2008年日本胃癌学会で報告しております。


S-1による化学療法により5年生存が得られた切除不能進行胃癌の1例





