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呼吸器外科

肺がん(原発性肺がん)について

肺がんの診断

1)症状

肺がんは症状が比較的出現しにくく、だいぶ進行して初めて症状が出現することも珍しくありません。
症状としては、咳や痰、血痰、胸痛、ゼーゼーという呼吸音、息切れ、声のかすれ、顔のむくみなどがみられることがあります。扁平上皮がんや小細胞がんなど比較的太い気管支に発生するがんは、早期から咳、痰、血痰などの症状が出あらわれることがあります。腺がんなどの肺の奥に発生するがんでは、なかなか症状が出ないことも多く、検診や人間ドック、他の病気で医療機関にかかっている時にたまたま見つかることが多くなっています。 ときに転移した先の臓器特有な症状、例えば脳転移による頭痛、骨転移による骨の痛みなどが症状として見られる場合もあります。また他のがんと同様に疲れやすさや食欲不振、体重減少などがみられることもあります。

2)検査法

咳、痰などの症状がある場合、最初に行うのは胸のレントゲン検査です。そこで異常が疑わる場合にはコンピューター断層撮影(CT)を行うのが一般的です。CTでは、腫瘍の正確な部位を判断するとともに、その腫瘍の性質をある程度類推する助けとなります。しかしながらレントゲンやCTでは腫瘍の診断を確定することはできません。したがってそのあとは二つの理由で検査を進めていきます。
まず一つは診断を確定するための検査です。一般的に「生検(組織診)」という方法かあるいは、「細胞診」と呼ばれる方法が取られます。生検も細胞診も、病変の一部を何らかの手段を用いて取り出し、顕微鏡などで調べる検査のことです。そこで肺がんの細胞がみられた場合は、肺がんの診断が確定します。細胞診の採取方法ですが、まず痰を調べる喀痰細胞診が簡便ですが、そのほかに気管支鏡を用いて気管支内を洗った洗浄液や、ブラシを用いて腫瘍を擦過して細胞を採取する方法があります。また生検を行う方法は主に4つあります。

1.気管支鏡検査
おもに咽頭麻酔(吸入麻酔)で行います。太さ5~6mmの気管支鏡を鼻または口から挿入し、気管や気管支の中を観察し、組織や細胞を採取します。この方法は基本となる検査法ですが、診断率は約60%前後と思われます。また最近では、この装置に超音波を組み合わせることによって、気管や気管支から縦隔あるいは肺の入り口(肺門部)のリンパ節を針で刺して、リンパ節にがんが転移しているかどうかを調べる「超音波気管支鏡下針吸引生検(EBUS-TBNA)」を用いて比較的簡便にリンパ節転移を診断することができるようになりました。

2.CTガイド(DSA)下肺針生検
コンピューター断層撮影装置(CT)で目標を定め、針を胸壁より病巣に向けて進め、組織を採取します。採取した組織を顕微鏡で検査します。 この方法を用いると90%以上の高い確率で診断が可能です。岩国医療センターでは、症例を選んでデジタル血管撮影装置(DSA)透視下に針生検を行っています。この方法ですと、患者さまの放射線被爆量を減少させることができ、より安全性の高い検査となっています。

3.縦隔鏡下リンパ節生検
左右の肺の間の部分、縦隔のリンパ節がはれている場合、それを縦隔鏡というカメラを用いて採取(生検)し、採取した細胞・組織を顕微鏡でがん細胞があるかどうか検査します。これは全身麻酔下に行われますが、頚部に約3cmの傷をつけるだけで行うことができます。

4.胸腔鏡下肺生検
上記の方法で診断が困難な場合、外科的に細胞や組織を採取します。近年では胸腔鏡下に病変を摘出する方法が広く行われるようになりました。全身麻酔が必要となります。胸壁を2~3か所小さく切開し、胸腔鏡と呼ばれる内視鏡を胸腔内に挿入し、腫瘍を摘出します。場合によっては腫瘍や肺、あるいは胸膜の一部を採取することもあります。この方法を用いるとほぼ100%診断可能です。

もう一つ診断面で重要なことは、肺がんの進行度を診断することです。これは病期(ステージ)と呼ばれていて、がんの大きさや、肺からリンパ節や他の臓器に拡がっていないかどうかを知るために行う検査です。これらの検査は、単にその人の予後(病気のたどる経過についての医学上の見通し(広辞苑より))を予測するためだけではなく、最適な治療法を知るために最も重要なことです。
そのために通常行われる検査は、脳への転移の有無を知るための脳MRI検査あるいは脳CT検査、肺あるいは縦隔や肺門部のリンパ節転移や、周囲の臓器への浸潤(周囲の臓器や組織に直接入りこんで広がる)、胸膜への播種(種をまくようにがん細胞が落ちて広がる)などを知るための胸部CT、肝臓や副腎をはじめとする腹部臓器への転移を調べるための腹部CTあるいは超音波検査、骨への転移を調べる骨シンチグラフィなどが必要となります。 また最近では、がん検診でも使われる、感度と特異性の高いポジトロンCT(PET-CT:ペットCT)と呼ばれる検査が、がんの診断およびがんの拡がりの診断に用いられるようになってきました。
その他、腫瘍マーカーと呼ばれるがん細胞によって産生され、血中に放出される物質の検出も行います。おもに腺がんでは、癌胎児性抗原(CEA)、扁平上皮がんではサイトケラチン17(CYFRA)や扁平上皮がん関連抗原(SCC)、小細胞がんでは、神経内分泌系細胞のマーカーである神経特異エノラーゼ(NSE)やガストリン放出ペプチド前駆体(ProGRP)の検査を行います。ただし腫瘍マーカーの感度や特異度はあまり高いとはいえないため、あくまでも診断の補助に使うと考えたほうがよいでしょう。

 

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